ブレインストーミングは計り知れない可能性を持っています。これまで世の中に存在しなかった新しいものを生み出すことができます。しかし、それは使い方を誤ればとても危険です。
アイディアを出す際には法律や道徳の制約を打ち破って行きます。当然その先に生まれる成果物が非合法であったり反道徳的であったりする可能性が多分にあります。
これからブレインストーミングを学ぶ前に、自分が本当にしたいことは何かを考えてみてください。それが人のため、社会のためであればブレインストーミングは大きな力になります。もしそれが利己的な目的のためであったら今すぐこのサイトから離れてください。ブレインストーミングのことは忘れてください。自分のためであってもそれはいつか自分を滅ぼします。
もうひとつ、このサイトを読み進めていきブレインストーミングという素晴らしいスキルを世の中に広めたいと思ったときにこのページのことを思い出してください。使い方を誤るととても危険であることも常に一緒に伝えてください。
今、教育の現場で道徳の価値が見直されてきています。どんなに勉強が出来ても正しい使い方を知らなければ意味がないことに社会(一部の偉い官僚さんたち)が気づきだしたのです。
戦前の日本の教育には修身という科目がありました。しかし戦時中にその内容がゆがめられたために危険な国家を形成する元となったものとして戦後は廃止されました。精神の教育がなくなった弊害として現代にいくつもの問題をもたらしています。
よく勉強し、偏差値の高い学校に入学し、有名な大企業に入って安定した生活を送る。いつしかそれが普通になっていました。有名な大企業に入れれば多くの給料がもらえ将来の生活が保障されると考えられたのです。
しかし今、経営危機に陥っている大企業はたくさんあります。なぜでしょうか?
当然です。大企業に就職することがゴールだと思っていた人々は何も生み出しません。上司に指示されたことしかしません。自分の仕事が増えることを嫌います。新しいことに挑戦して失敗することを嫌います。自分の責任を問われるのを嫌います。
社会に対して価値を提供しなければ、対価を得ることはできません。
過去の人たちがつくりあげたブランドと蓄えた財産に多くの人が群がり食いつぶしているだけなのですからどんなに大きな企業でも衰退していきます。
大企業だけではありません。公務員も安定した職業として人気です。公務員になる人のどれだけの方が国や自治体の未来を良くしようという気持ちで就職したのでしょうか?国や地方自治体、それに準じる企業(金融機関や農協など)がそれではとても心配です。
あなたは何がしたいのか?どんな人間になりたいのか?これがとても大事なことです。
何になりたいのかではなく、なって何がしたいのかが大事なのです。
これを考えることが本当の道徳なのです。「何のために生まれて何をして生きるのか?わからないまま終わる、そんなのは嫌だ」とやなせたかし先生も言っています。
これを考えることなく育った世代は何も生み出しません。それどころか自分たちの生活のためには他の人に勝ち、騙し、奪うことも当然と考えることもしばしばです。
詐欺、少年犯罪、自殺といった悲しいニュースが毎日流れています。弱肉強食が自然界の摂理だから仕方がないと思いますか?しかしそこには安心安全はありませんよね。常に自分より強いものにおびえていなければなりません。自分より弱いものでも隙をついて襲われるかもしれません。自分の身は自分で守れたとしても自分の大切なものをターゲットにされるかもしれません。
人間は人間同士争わなくてすむように道徳や社会のルール、法律というものを作ってきたのです。これらは歴史的な発明と言ってもよいでしょう。平和のためにこれらを活用していかない手はありません。
仕事とは何でしょうか?
それは誰かの代わりに何かの役割を担うことです。
互いに別々の役割を担うことで生産性をあげて余裕を産みだし、自然災害に備え、病気などの災厄を克服してきたのです。働くということが生きることそのものだったのです。
しかし今はどうでしょうか?自分と家族が生きるため、生活のための犠牲の時間と考えている人も多いのではないでしょうか?
生活の糧となるお金を稼ぐのが仕事という考え方からは誰かの代わりに何かの役割を担うことという概念は消えてしまいがちです。
「株式会社の目的は利潤の追求だ」という考え方が一般的にあります。果たしてこれは正しいのでしょうか?
株式会社は株主のものだから配当を生み出すために利潤を追求して当たり前という答えが聞かれます。では株式会社は株主のものという前提は正しいのでしょうか?
株主は社会に対してお金という資源を出資をし、労働者は社会に対して労働力という資源を出資しているだけです。経済力という指標の評価が強くなった結果として株主(資本家)が強い立場になり、株式会社は株主のものだという主張が広まってしまったにすぎないというのが私の考え方です。
これについては現在も経済学者の間で議論が続いています。
参考 ピーター・ドラッカー先生 「現代の経営」(1954年) 企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなくてはならない。企業は社会の機関であり、その目的は社会にある。企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である。社会が企業に資源を託しているのは、その顧客に財とサービスを提供させるためである。 利潤動機やそこから派生する利益最大化の概念は、企業の機能、目的、マネジメントとは無関係である。いや、そのような概念は無関係であるよりもさらに悪い。害を与えている。それは利益の本質に対する社会の誤解と、利益に対する根強い反感の主たる原因となっている。 もちろん、利益が重要でないということではない。利益は、企業や事業の目的ではなく条件なのである。また利益は、事業における意思決定の理由や原因や根拠ではなく、妥当性の尺度なのである。 ダイヤモンド社 ドラッカー名著集2 『現代の経営 上』より |
参考 会社法(2006年) (株主の権利) 第105条 株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。 一 剰余金の配当を受ける権利 二 残余財産の分配を受ける権利 三 株主総会における議決権 |
今ふたたび道徳教育が見直されてきていると書きました。これからの人たちは道徳を学んでくる時代になるでしょう。中学校で仕事の現場を体験する時間が作られ、高校ではキャリアについて考えるよう指導され始めています。
しかし学んでこなかった我々はどうなるのでしょうか?自分が生き残るためには何をするか分からない人は信用されなくなり仕事のパートナーとして選ばれなくなるでしょう。
今一度、あなたは何がしたいのか?どんな人間になりたいのか?考えてみて信念を持ってください。
池上彰先生がテレビでよく話している逸話にこんな話があります。日本人が飛行機で中東に渡った時に入国審査で信仰する宗教をきかれました。日本人で無宗教はめずらしくありません。彼が「none」と答えたところ信じるものがない人間は何をするか分からない、この者は危険だから入国させられないと判断されたそうです。
これは笑い話ではありません。ヨーロッパでパイロットが自分のプライドが傷つくのを恐れて乗客の乗った旅客機をわざと墜落させる事件(2015年ジャーマンウィングス9525便墜落事故)が起きました。身近なところではバイトテロもそうです。食品を扱っているという自覚がなく終業時刻が来るまで作業をすることが仕事だと思っていては食の安全は保たれません。(個人だけが悪いのではなくアルバイトという安価な労働力を使い従業員教育を怠ったことが原因でもあります。)東京電力の福島原発の事故も津波に対するリスクが示されていたにも関わらず企業の経営、利益を優先したために起きた人災という見方もあります。判断基準が正しくなかったのです。
行き過ぎた効率化の果てに自分が何を担っているのか分からずに仕事をしていてはアクシデントを回避できるはずがありません。
ですからこれからの時代、信念を持たないひとは信用されず、社会で生きていくことができなくなる時代が来ます。
ブレインストーミングについて調べるためにこのサイトにたどり着いたのになぜ哲学をしなければならないかと思うでしょうが是非考えて見てください。
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