ブレインストーミングを一言で説明すると「新しいアイディアを導き出すための発想法」です。その最大の特徴は複数人で実施するということです。諺にもある「三人寄れば文殊の知恵」そのものといえます。
しかしながら、ただ人が集まればよいアイディアがうまれるというものではありません。1939年ころにアメリカの広告代理店副社長(のちに社長)アレックス・F・オズボーン(Alex.Faickney.Osborn)が効果的な会議の方法を模索してあみだしたのがブレインストーミングです。
「APPLIED IMAGINATION 〜Principles and Procedures of Creative Thinking〜」という書の中で発表しています。
ブレインストーミングというネーミングの由来について
「Brain」はもちろん「脳」のことですが、「Storming」とは何でしょうか?中学校の英語の時間にまず習うのは「嵐」ですね。しかし、オズボーン先生は「突撃する」という意味で使ったという説があります。脳に果敢に攻撃を仕掛けて活性化させるというようなイメージでしょうか。
(ちょっと日本語ではわかりづらいですね。必ずしも英語に該当する日本語が存在するわけではないので、日本人にはない感覚なのかもしれません。)
ブレインストーミングを正しく理解するためにもっとも重要なこと、それはブレインストーミングが「発散の技法」であることを理解することです。
問題を解決する、新商品・新サービスを開発するといった作業のなかの一部の工程なのです。ブレインストーミングだけでは完結しないのです。それが理解できないままブレインストーミングを実施しても不完全燃焼に終わってしまうでしょう。
突然ですが、みなさんは会議は好きですか?最近、会議は時間の無駄、「悪」であるという認識が増えてきています。会議を無くすためのITツールも流行っています。会議を「怪議」なんて言う人もいるようです。どうして会議はこのような扱いになってしまったのでしょうか?
・時間が長い、終わりが見えない
・意見を言っても聞き入れられない
・物事が決まらない
など様々な理由がありそうです。
ではなぜこのような事態が起きてしまうのでしょうか?その答えのひとつが「会議にはいくつかの種類があるのにすべてが会議という名で実施され、参加する会議がどの会議なのか参加者が共通認識を持っていない」ことです。参加者が目的やゴールを共有していなければそれは迷走して当然です。
会議の種類には以下のようなものがあります。
@ | 命令通達の会議 | すでに決定していることを伝えるための会議 |
A | 状況確認の会議 | 各自の仕事の内容や進捗、結果を報告し合い状況を把握するための会議 |
B | 諮問の会議 | リーダーが他のメンバーから意見を聴き取り、物事を決める参考にする会議 |
C | 決定の会議 | 決まっていないことを決める会議 さらに決定の会議にはいくつかの案の中から選ぶ会議と0から創造する会議がある |
命令通達の会議では自分の意見は求められていません。部下がいくら提案しても場違いです。(反対によくわかっていない上司が「部下が意見を言わない」などと勘違いしている場合もあります。)場違いな提案をたしなめられた部下は次に決定の会議でも提案をしてはいけないのだと思うでしょう。
状況確認の会議では他のメンバーの報告に対して意見し、議論が始まると収拾がつきません。同じ会議に参加していながら参加者が別の種類の会議だと思っていると会議が終わらないのです。
同じ組織であっても様々な種類の会議が存在するので、まずいくつかの種類があることを知り、各会議がどの種類にあたるのかをわからないといけないのです。参加者全員がこれを理解できていたら会議はいくらか有意義なものになるでしょう。
話をブレインストーミングにもどします。
ブレインストーミングが活用されるのは主に決定の会議の場です。
その中でも、いくつかの案が上がっていてその中から一つに決めるという会議ではなく、白紙の状況から決める創造する会議です。
決定の会議は「発散」の時間と「収束」の時間に分けられます。
発散の時間はアイディアを出す時間です。収束の時間は出たアイディアに裏付けを述べたり長所や短所を比較したりし未来を決める時間です。
物事を決める時にはこの発散と収束を交互に繰り返して項目をひとつひとつ決めていくのが効率的です。
発散の時間はアイディア出しに徹し、収束の時間は決めることに徹することが大事です。
この発散の時間と収束の時間が混在した会議は堂々巡りになりやすく失敗の会議になります。ブレインストーミングはこの「発散」のやりかたのひとつということです。
「収束」の方法にもいくつかありますがそれはまた別の機会に。
ブレインストーミングは「発散」の技法という説明をしましたがもう少し具体的に説明します。
問題解決の場面と新商品・新サービスの開発の場面で見ていきましょう。
単にブレインストーミング=四大原則と思われているほど重要なポイントです。
ブレインストーミングの四大原則 | |
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@defer judgment | 批判厳禁 |
Ago for quantity | 質より量 |
Bencourage wild ideas | 自由奔放・奇抜に価値あり |
Cbuild on the ideas of others | 便乗せよ |
※日本語訳はブレインストーミングを紹介する書籍、サイトによって様々です。
しかしこの、ブレインストーミング=四大原則という認識こそがブレインストーミングの悲劇の始まりともいえます。
ブレインストーミングはちょっとしたワークショップなどで気軽に取り入れられているのですが、その際には参加者に対してこの四大原則のみを紹介してすぐに実践となるケースがほとんどです。「誰でも簡単にすぐできる」という認識こそが大きな間違いなのです。本質の解説と理解がないままでは成功するはずがありません。
四大原則については次のページでひとつひとつ説明していきます。
問題解決のビジネス書やリーダーシップのビジネス書などにもブレインストーミングは紹介されています。
また、ITパスポートをはじめ各種資格試験、検定試験の問題にも出てきます。そこで触れられているのはせいぜい四大原則の標語までなのです。それだけではブレインストーミングを使いこなせるわけがありません。
小学生のころを思い出してください。漢字だって計算だってドリルで練習しましたよね。部活に入っていたころは毎日が試合やコンクールだったでしょうか?違います。ほとんどが練習の日々だったはずです。それが大人になったからといって覚えたらすぐにできるようになるはずがありません。
練習をしてから本番に取り組まなければ失敗して当然なのです。
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