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本当のブレインストーミングをマスターして世界を変えよう

吉越戦略研究所 TEL. 090-2778-9202

〒945-0306 新潟県刈羽村十日市2190

第2章 四大原則PRINCIPLES

第1章で紹介したとおりブレインストーミングには四大原則というものがあります。
まずはこの四大原則の本質を理解することが必要です。
ブレインストーミングの四大原則 
 @defer judgment  批判厳禁
 Ago for quantity  質より量
 Bencourage wild ideas  自由奔放・奇抜に価値あり
 Cbuild on the ideas of others  便乗せよ

批判厳禁

原文ではdefer judgmentでそのまま日本語にすれば「判断を延期せよ」となります。しかし大概の日本のブレインストーミングの解説本やサイトでは「批判厳禁」というのが一般的です。「結論を出さない」「評価しない」という訳もあります。

判断延期イメージ

「ひとは認められたい生き物」

「思っていることを言ってみて」といわれたのに、出した答えに「それは無理」「そんなことは不可能だ」「間違っている」と言われたらどうでしょうか?

自分が出した意見を批判されれば誰でも面白くないですよね。

それだけではなく次に発言するのが嫌になったり、言うことをためらったりしますよね。そんな雰囲気では誰も何も言わなくなります。

これは集団思考に置いて最大の障害になります。

そこでブレインストーミングではすべてのアイディアを批判してはいけないとされています。

口に出さないだけではなく頭の中で否定するのもやめましょう。すべてのアイディアを自分がアイディアを出すためのヒントにすることが大事です。

ひとが出したアイディアはもちろん、自分が思いついたアイディアも否定してはいけません。非現実的と思える考えもそれは自分の尺度で非現実的と思っているだけかもしれません。

 


マズローの欲求5段階説イメージ

「称えるのはどうか」

判断には×もありますが、○もあります。判断を延期しろということは○もNGなのでしょうか。

そんなことはありません。むしろすべてのアイディアは○なのです。

そのなかでも自分では考え付かなかったようなアイディアがでた時は、大いに賞賛しましょう。

面白いと思ったら面白いと伝えましょう。

人は認められたい生き物なのです。参加者が気持ちよくアイディアを出せる雰囲気を作っていきましょう。


 余談 マズローの欲求5段階説
挿入したイラストはマズローの欲求5段階説と言われるものです。心理学のみならず、ビジネスにおいても報酬やリーダーシップなどの組織運営に関する場面でたびたび紹介されています。昨今脚光を浴びているコーチングのセミナーなどでは間違いなく出てきます。あまりにも有名なので疑いもしない方がおられるかもしれませんが、これはあくまでもマズローという学者が提唱したひとつの説です。心理学とは実証が困難な学問です。このマズローの5段階欲求説も証明されたものではないのです。ブレインストーミングの講義をするときもマズローの5段階欲求説などをもっともらしく引き合いに出すと説得力が増しますが、これが絶対の法則であるかのように勘違いしていると思わぬ恥をかいたりしますのでご注意ください。
 アブラハム・ハロルド・マズロー博士 (アメリカ 心理学者 1908-1970)
 5段階欲求説とは、図の下の方にある欲求の方が低次であり、その低次の欲求が満たされると高次の欲求が芽生えるというもの。まず生きていくための食べたい・寝たいという生理的欲求があり、それが満たされると危険の回避・安心したいという安全欲求がおき、それが満たされると仲間をもとめる社会的欲求がおきます。その後、高次の欲求である人に認められたいという自我欲求が生まれ、さらにそれが満たされると今度は人に認められるかどうかよりも自己というものを築き上げたいという欲求が生まれるというもの。

質より量

原文ではgo for quantity。日本語にすれば「量を目的にする」といったかんじでしょうか。よりわかりやすくするために補足して日本語では「質より量」と紹介されていることがほとんどです。

質より量をレクチャーイメージ

「“量より質”と“質より量”どっちがお好き?」

 学校では・・・よく考えてから発言しなさい
 家庭では・・・よく考えてから行動しなさい
 会社では・・・できないことは言うな、言ったことはやれ
 日本の社会ってこんなかんじですよね。保守的です。誰かが充分に考えずに誤った行動をすると集団が大きなリスクを負うこともあるのですからそう教えられてきて当然です。

セミナーでどちらの考えが好きかと聞くと7割以上の方が“量より質”と答えます。(“質より量”と答えた人に理由を聞くとほとんどが食べ物を連想していました(笑)。)

しかし、ブレインストーミングにおいて、これらはすべてNGです。

思いついたら言ってみる。最後までまとまらない半端な状態でも言ってみてよいのです。その先のことは他のメンバーがうまくやってくれると思って口に出せばよいのです。

もし、遠慮して口に出さなかったら・・・それは他の人のヒントとなるものを握りつぶしてしまったということです。質は問わないという理由はここにあります。

ノーベル賞を2度受賞しているライナス・ポーリングというひとを知っていますか?彼がこう言っています。「良いアイディアを手に入れる最良の方法は、多くのアイディアを手に入れることだ。」

 余談  ノーベル賞を2度受賞した男
 ライナス・カール・ポーリング博士 (アメリカ 量子化学者・生化学者 1901-1994)
 化学結合に関する研究でノーベル化学賞を受賞し、核実験に反対する運動でノーベル平和賞を受賞しています。さらにDNAの2重らせん構造が発見される前にそれとよく似た3重らせん構造を提唱していました。化学とひとことに言ってもその分野は数多くの分野に分かれていますが彼は様々な分野に置いて功績を残しているのが特徴的です。これは多くの分野に精通することが異分野の研究対象の解明にも大いに役に立っていたからだと考えられます。
 余談 日本人は慎重?
 日本人は他の民族に比べて慎重であり、みんなと同じ行動をとると言われてきました。どこかの国の風刺画で日本人を動かすには「みんなやっているぞ」と言うのが効果的だと描かれるくらいです。
 このことが最近科学的に証明されつつあります。
 テレビコメンテーターとしても活躍する脳科学者の中野信子医学博士が、その著書の中で「日本に不安症の人が多いわけ」として、次のように言っています。
 脳内ホルモンのセロトニンという物質があります。セロトニンは安心ホルモンと呼ばれ、セロトニンの分泌が多いと安心しリラックスした状態になり、少ないと不安を感じやすくなると言われています。セロトニンを効率的に利用するためのセロトニントランスポーターというたんぱく質が存在します。セロトニントランスポーターが多い人は多少のリスクがあってもあまり気にせず楽観的でおおらかな振る舞いをします。このたんぱく質をつくる遺伝子には、多く作ろうとする遺伝子(L型)と少なく作ろうとする遺伝子(S型)が存在し、この遺伝子の調査を29ヶ国で実施したところ、日本人は29ヶ国中もっともS型をもつという結果になりました。
「ヒトは「いじめ」をやめられない」 小学館新書


つまり遺伝子レベルで日本人の性格が定められているのです。


自由奔放、奇抜に価値あり

原文ではencourage wild ideas。日本語にすれば「ワイルドな考えを奨励する」…。ワイルドは日本語じゃないですね。ワイルドはいろいろな意味を含んでいて難しいのです。「乱暴な」「無法な」「狂気じみた」「だらしない」「突飛な」「無謀な」「でたらめな」という意味があるのです。そこで私は「自由奔放、奇抜に価値あり」と訳しました。

「常識なんて聞きたくないのよ」イメージ

「常識など存在しない コレ新常識」

「常識」とは何でしょう?

みんなが共通して当たり前と思っていることです。

しかし、その常識が通じなかった経験をされたことはありませんか?自分では当たり前と思っていたことが実は一般的ではなかった体験が誰しもあるはずです。
 
標準語だと思っていたのが実は方言だったりなんてのがわかりやすいですね。海外旅行に行ったことがあるなら、日本の常識と異国の常識が違うことはすんなり受け入れられるでしょうが、日本国内でもさまざまな文化があることに思い至らない人は結構いるようです。私生活のほとんどは家の中です。他の人の家庭の様子を見る機会が少なくなってきている現代では、ずっと常識と思ってきたことが実は自分の家族だけのことで、世間では非常識だったなんてこともあります。

常識というのは自分が育ってきた狭い世間でのローカルルールでしかないのです。つまり、常識なんてものはあってないようなものなのです。

アインシュタイン先生がこう言っています。
“常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションである。”

ブレインストーミングにおいて、浮かんだアイディアが常識かどうかを自己判断することがナンセンス、意味のないことなのです。

定義や前提条件ですら無視して、とにかく何でも思いついたことを言ってみてください。

そこがブレインストーミングの場面でなかったら、こんなことを言ったら笑われる、馬鹿にされるというようなアイディアこそ価値があると言っても過言ではないのです。


「理解されないくらいでちょうどいい」

残念なことに、革新的なアイディアはなかなか認められません。いままでそうやっていくつもの大チャンスが失われてきているのです。

今の世の中に当り前にあるものでも、初めはとても奇抜なアイディアとしてなかなかまわりの人に理解されなかったものがいくらでもあります。

例えば“宅配便”、クロネコヤマトの宅急便と言えばだれもが利用したことがあるのではないでしょうか?佐川急便、日本郵便(日通のペリカン便を吸収)などもメジャーです。

今では個人の家に荷物が配達されるのは当たり前ですが、かつては業界の常識からかけ離れた非常識だったのです。そのサービスが始まったのは1976年、つい最近です。

 参考 
 宅急便の誕生
 小倉昌男ヤマト運輸社長(当時)
 まだ日本にトラックが少ない時代に創業されたヤマト運輸は、初めは順風満帆でした。しかし業界のトレンドに乗り遅れ一転ピンチに陥ったのです。そこで2代目社長の小倉昌男は考えます。個人の家と家を結ぶビジネスはどうかと。当時は郵便局がそのようなサービスを取り扱っていましたが重量などの制限がありました。(他にも2社ほどあったようですがうまくいっていなかったのです。)
 このサービスが成功すると確信した小倉昌男社長でしたが、社員に話すと大反対があったようです。当時の業界の常識は「小口荷物は集荷・配達に手間がかかり採算が合わない。」というもので、仕事の主流は生産地・製造地から消費地までの大口輸送でした。営業コストを考えると1件で何十万、何百万という売上になる現状から1件当たり数百円から数千円というサービスは考えられなかったのです。
 しかし確信があった社長は事業を推し進めます。
 結果、それが今では海外にも展開する大企業に成長したのです。
ヤマト運輸(外部サイト) http://www.kuronekoyamato.co.jp/company/30th/ 


もうひとつこんな例もあります。

ノートパソコンを作った会社はどこでしょう?

インテルでもマイクロソフトでもアップルでもありません。

日本のシャープです。

今では当たり前になったノートパソコン。最近ではタブレットPCに押されてきていますが、1989年にあるひとつの常識の打破がなければノートパソコンもタブレットPCも誕生していなかったのです。

昭和生まれの方はラップトップパソコンというのを覚えていますか。いまのノートパソコンよりもだいぶ大きく、厚みは10センチ以上というものです。普通のパソコン本体に液晶モニターがくっついてなんとか持ち運べるようにした代物でした。

みなさんはパソコンのハードディスクといえばCドライブとDドライブだというのは知っているかと思います。ではAとBはどこに行ったのでしょうか?

AとBはフロッピーディスクのためのドライブだったのです。当時のパソコンは内臓ハードディスクなどなく、OSも外部の記憶媒体(フロッピーディスク)に入っておりソフトウエアもそうだったのです。

このフロッピーディスクのドライブの大きさがパソコンの小型化・軽量化のネックでした。

これを取り除いてしまおうという当時では不可能とされた思い切った発想が当時の上司に馬鹿にされることなく認められたのです。

 参考 
 ノートパソコンの誕生(新潟国際ビジネスメッセ2007での西岡郁夫先生の講演をもとに執筆。)
 O課長と西岡郁夫シャープ事業部長(当時)
 1989年当時日本でパソコンと言えばNECの時代でした。そして業界のプラットフォームがソフトウェアは外部ディスクという時代です。フロッピーディスクドライブがなければどうやってソフトウェアをインストールするのかいう常識的な反論を打ち破るアイディアはアメリカのベンチャー企業が開発したハードディスクを利用するというものでした。それ以外にも実現には多くの困難が予見されましたが、O課長のアイディアを上司の西岡事業部長が受け入れ、経営陣を説得してプロジェクトは始まったのです。その後も様々な課題を解決しノートパソコンは開発されたのです。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
西岡郁夫の経営トップのコミュニケーション術 日経オンライン(外部サイト) 
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090723/200723/


これらの逸話をもとに言えることがひとつあります。

ひとが「無理だ」、「出来るはずがない」という発想だからこそ大きなチャンスだということです。

日本人として初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士もこんな名言を残しています。

“独創的なものは、初めはは少数派である。多数というものは独創ではない。


民主主義を偏重してきた日本では「多数派=正しい」という錯覚があります。小学校の学級会の時間以降、最後は多数決で決め、多数決の結果は絶対という認識を植え付けられているのです。

しかしどうでしょう?ガリレオガリレイ大先生が地動説を唱えた時、誰もが信じずガリレオ先生を糾弾しました。が、地動説が正解だったのです。

失敗は成功の基イメージ

「“失敗は成功の基”とは何だったのか」

“失敗は成功の基” このことわざを知らない人はいないでしょう。

失敗してもその原因を考え、改善することで成功に近づくことができる。というものです。

しかし、このことわざを実践している人がどれだけいるでしょうか?

まったく反対に、失敗しないことが成功だと思っている人のいかに多いことか・・・。

チャレンジしないことは最大の失敗です。

さらに、人がチャレンジすることを妨げていたら社会の敵です。

特に安定した仕事といわれる職、公務員やそれに準ずる法律のもとにある組織、金融機関、おそろしいことに学校の先生までもが事なかれを良しとしています。大企業でもそうです。失敗して責められることを恐れ、仕事が増えるのを嫌い、これまでやったことがないことはしようとしません。これで社会が良くなるでしょうか?。

もちろんすべての方ではありません。やる気のある人、情熱を持った人、使命感を持った人がいます。しかしそういった人の提案がことごとく潰されています。

勉強してよい高校に入り、よい大学に入り、安定した職(公務員や大企業)に就職する。あとはその安定したポジションを守るだけ。そういうひとばかりの組織はすぐにダメになります。ジャパン・アズ・ナンバーワンといわれ日本製品が世界中で認められていましたがそれらを作ってきた大企業がいまことごとく苦戦しています。先ほど紹介したシャープが良い例です。これは就職がゴールで企業の過去の財産(ブランド)を食いつぶすだけの人が増えたからです。

筆者の仕事は中小企業診断士です。平たく言うと経営コンサルタントです。この仕事をはじめて、社会には仕事が増えることを嫌う人と、人がチャレンジすることを妨げている人がたくさんいることに気付きました。そしてそれは今の日本をダメにしています。

例えば地方創世。国からの指示でほぼすべての市町村が取り組んでいます。しかし多くの市町村で、どこかで成功事例がない提案は受け入れられません。

誰もやっていない独創的なアイディアはなかなか受け入れられません。それは当然です。先ほどの書いたようにすぐに受け入れられるようでは価値がないのです。しかしまったく受け入れようとしません。理由は1つ。成功事例がないからです。

すぐ真似できるような事例は他のところでもやります。まったく珍しくもなくなりその後の経営・運営が成り立つわけがありません。

そして実績がない人は仕事に参加できません。

では誰が最初のひとりになるのでしょうか。若い人はどこで実績を積むのでしょうか。おかしなことばかりです。

新しいアイディアでも中身をしっかり評価するのが本来の仕事であるのに彼らはそれを怠けているのです。

だれも責任を取らせられたくないのと仕事を増やしたくないのでしょう・・・
がっかりです。

だいぶ私の愚痴みたいになってしまいましたので、すこし話を変えてアニメの話をしましょう。

『紅の豚』というジブリアニメを見たことがありますか?

あのアニメは飛行機乗り(飛行艇乗り)がかっこいいというだけの映画ではありません。どんなメッセージがあったか分かりますか?

愛機が壊れた主人公のマルコ・パゴットは修理のために馴染の飛行艇製造会社ピッコロ社に行きます。そこで、設計を17歳の孫娘フィオが担当すると言われ一度は依頼をキャンセルしようとします。そこでのやりとりが以下の通り。

フィオ「いいパイロットの第一条件を教えて。経験?」

マルコ「いや、インスピレーションだな。」

フィオ「よかった。経験だって言われなくて。」


是非DVDを買って(または借りて)ご覧ください。

便乗せよ

原文ではbuild on the ideas of others。build onには「利用する」といった意味があります。「建て増す」という意味もあります。他の人のアイディアを使ってもいいよということではありません。利用しなさいと言うことなのです。

「良いものに乗っかるっていうのは大事じゃないですか!」イメージ

「お前のものは俺のもの」

お互いに誰が言ったアイディアであったかを気にしてはいけません。まったくオリジナルのアイディアにこだわるのはナンセンスです。そんな些細なこだわりはブレインストーミングにとって邪魔なのです。

自分以外のAさんのアイディアとBさんのアイディアとをくっつけて使ってもよいし、Cさんのアイディアから全く反対のことを言ってもいいのです。(ここで反対のアイディアを出すのは否定や判断ではありません。逆もまた真なり。押して駄目なら引いてみよ。ということです。)

ここが、ひとりで考えるよりも集まって考えたほうが効果が出るブレインストーミングのブレインストーミングたる所以です。

例えば・・・
課題「新しい靴を履くと靴擦れして痛い」
@絆創膏を足首に貼る
     ↓  @を反対にして
A反対に靴のほうに貼る
     ↓  @とAをくっつけて
B足首とくつと両方に貼る
といった具合です。

また

@絆創膏を足首に貼る
     ↓  @に発想を加えて
C足首に貼りやすい足首用の絆創膏をつくる

さらには

@絆創膏を足首に貼る
     ↓  @に発想を加えて
D目立たない絆創膏を足首に貼る
     ↓  Dの目立たないのところを逆転させる考え方で
Eおしゃれな絆創膏をつくる かわいい絆創膏をつくる
     ↓  さらに
F靴のブランドが専用のブランドロゴの入った絆創膏をつくる

というようにアイディアをひろげていきます。

ちなみに新しいアイディア(製品)のほとんどすべては既存のアイディアや自然界にあるものを発展させたもの、もしくは組み合わせたものだと言われています


 参考
 孫正義ソフトバンク社長
 孫正義社長は学生のころから実業家を目指し、創業資金を効率よく手に入れるためには発明をして特許をとるしかないと考えました。コツコツアルバイトをしても少額のお金しか手にすることはできず、何より勉強するための時間が削られてしまうと考えたからです。
 そして毎日ひとつ発明を実践しているうちにある法則に気付きます。発明のプロセスには@問題解決法ー必要性(ニーズ)からの発明A水平思考法ー既存のものの固定観念に変更をくわえる発明B組み合わせ法ー既存の複数のものを組み合わせて新たな価値を生み出す方法の3通りがあること、そしてBの組み合わせ法がもっとも効率がよさそうだということです。
 その後、孫社長は発明のための発明をします。初めは単語カードにさまざまな単語を書き込みランダムに組み合わせるというアナログな方法を使っていましたが(それを実行しようとすることも十分画期的です。)それをコンピュータに自動処理させるという発明です。これを使って音声付電子翻訳機を発明し大学在学中に創業資金およそ1億円を手にしたという話です。
「まんがで学ぶ成功企業の仕事術 ソフトバンク@」朝日新聞出版
     

「よく聴きましょう」イメージ

「よく聴くことが最も大事」

自分のアイディア以外のアイディアを活用するためには絶対に必要なことがあります。

それは人のアイディアをしっかり聴くということです。

これがブレインストーミングにおいて最も大事なことのひとつです。

「傾聴」という言葉があります。
コーチングのスキルとしてよく聞くようになりました。

傾聴のスキルの代表的なものとして「ペーシング」「おうむ返し」「言い換え」があります。

 スキル名 内容 
 ペーシング  話し方(スピードやリズム)や身振り手振りを相手に合わせること
例)相手のテンションが高い時にはこちらもハイテンションで応える。
 おうむ返し  相手の話したことを言葉を変えずに繰り返すこと
例)相手「すごく大変だったんですよ!」 自分「そうですか、すごく大変だったんですね!」
 言い換え  相手の話したことが自分が受け取ったことと同じかどうか別の言葉に言い換えて確認すること
例)相手「秋の果物が好きなんです!」 自分「葡萄や栗や柿が好きなんですね!」
 その通りなら「そうです!」と返ってきますし、イメージがずれていて梨などが好きならそれが確認できます。


コーチングの傾聴の目的は相手のことを理解し信頼関係を強めることです。
(その先には、相手が本人でも気付かなかった深層心理が言葉となって現れ、一歩先に進めるようになるステージがあると言われています。)

ブレインストーミングの場合は少し異なります。
相手がアイディアを発言しやすい場を作ることも大きな理由です。
それよりも大切なことはそのアイディアを理解して自分が活用することです。

コーチングの場合は聴くことに専念します。自分が考え事をしていてはいけません。

ブレインストーミングの場合は必ずしもそうではありません。必死にアイディアを探していたならば、聴きながらアイディアが浮かんでくることは自然なことです。

聴いているうちに浮かんだアイディアは素早くメモをとり、また聴く姿勢にもどるのに慣れることが必要でしょう。



 第2章まとめ
  1. 四大ルールは覚えるのではなく中身を理解することが大事
  2. 自分の思い込みだけの常識にとらわれずに量を追究すればよいアイディアがうまれる
  3. 簡単に理解されないアイディアにこそチャンスがある



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