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本当のブレインストーミングをマスターして世界を変えよう

吉越戦略研究所 TEL. 090-2778-9202

〒945-0306 新潟県刈羽村十日市2190

第4章 成功のための準備PREPARATIONS

ここからはブレインストーミングの成功に近づくための手法を書いていきます。
まずは集まる前の準備からです。

場所

ブレインストーミングを失敗に導くなんちゃってブレインストーミングを紹介するサイトや書籍の解説のなかでは、ブレインストーミングを行う場所は「会議室ではないアイディアが出やすい場所がよい」としているものが見られます。
これについて考えてみましょう。

ブレストは会議室でやってはいけないことはないイメージ

「場所にとらわれない」

たしかに普段とは違った開放的な場所であれば普段は思いつかないようなアイディアが出る気がします。

普段いる会社の中ではなく外部の施設の貸しスペース、おしゃれなカフェ、屋根のない青空のもと、新緑の森の中・・・

しかしそれでは、そのような場所が用意できないときにはブレインストーミングができないことになってしまいます。

「練習は本番のように、本番は練習のように」これが大事です。

社内の会議室で出来なくなってしまっては不自由極まりありません。

どこでも必要な時にブレインストーミングができるように場所に制約をもうけるのはやめたほうがよいでしょう。

 


散らかったデスクイメージ

「ヒントがたくさんあるほうが良い」

とはいえ、アイディアがたくさん出るように本番の場所を整えることは大事なことです。

何もない場所よりもいろんなものがある場所のほうがそれらをアイディアのヒントにできるので多くのアイディアがでます。

クリエイティブな仕事をするひとのデスクの上には遊びがたくさんある気がしませんか?

管理されて作業をするひとのデスクの上に無駄なものが置いてあると整理整頓の正義のもとに咎められてしまうでしょう。しかし才能を買われているひとには見た目の整理整頓は強要されません。仕事の効率をさげるようなおもちゃが置いてあってもむしろそれがそのひとの才能の原資なのです。

何もない場所よりはヒントになるようなものが視界に入ってくる場所のほうがとんでもないアイディアが生まれるかもしれません。

 余談  片づけない技術
 岩波メソッド開発者でMENSA会員の岩波邦明氏の著書「片付けない技術」(宝島社)によると、アインシュタイン先生やスティーブ・ジョブズ先生、マーク・トゥェイン先生の机の上は散らかっていたようです。
 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)は確かに重要なことで、片付けは行動理念をつくるうえで有益なのですが、天才ならば整理整頓をしなくても自分がなすべきことを見失わずに、仕事を成し遂げるということであり、創造的な仕事をする上でヒントが目の前に散乱していることのほうがプラスになるのでしょう。

 参考
 漢字テスト
 小学生、中学生だった頃を思い出してください。みなさん日本で教育を受けたなら漢字のテストを受けたことがあるでしょう。わからない問題が出てきたときどうしましたか?すっぱりあきらめた人もいるでしょうが、同じプリントの中に答えがないか探したりしませんでしたか?教室のなかの掲示物をカンニングにならない程度に見渡したりしませんでしたか?(これは立派なカンニングだと言う指摘はなしでお願いします。)
 慣れた人はそのものズバリの答えを探すのではなく、漢字の部首をヒントに答えにたどり着いていくのです。
 ブレインストーミングも周りにあるものは何でも使ってアイディアを出していいのです。

記録スペース

ブレインストーミングには参加者全員でアイディアを共有するための記録スペースが必要です。

アウトプット 外化 イメージ

「外化する」

アイディアを脳の中から外に出すことを認知科学で「外化」といいます。

出てきたアイディアを忘れないため、そして共有するために書き留めていくわけです。

そのための記録スペースはできるかぎり広いほうがよいでしょう。慣れてくるとスペースはいくらあっても足りません。

台紙はホワイトボードでも模造紙でも構いません。

とある会社は壁一面がホワイトボードになっているそうです。

さらに今ある壁をホワイトボードにできる塗料というアイディア商品もあります。



ふせん イメージ

「付箋」

今、様々な形の付箋が存在します。

この付箋、ブレインストーミングのためにあると言っても過言ではありません。

とても便利です。

手元で書いてから貼るのでためらいなく書けます。

書き損じたらそのまま捨てられます。

もうひとつ、1枚の付箋に1つのアイディアを書くことができるのが素晴らしいのです。

ひとつひとつのアイディアが識別できます。

(似たようなアイディアでも別々の付箋に書きます。)

第6章で書きますが、始めに個々のアイディアの書きだしを行いますのでその時にも活躍します。

なくてもよいのですが使わない手はないでしょう。

ブレインストーミングには少し大きめの付箋が適しています。

3M社のポストイットであれば75×75mmと75×100mmの2種類があると便利です。

シンプルなアイディアは小さいほうに、複雑なアイディアは大きいほうの付箋に書きます。時には文字だけではなくイラストも描くこともできます。

 余談
 付箋の使い方にはちょっとしたコツがあります。
製品によって粘着力は違いますが、貼った付箋が落ちてしょうがないという経験はないでしょうか?それは最初のめくり方に問題があるのです。
 糊付けされていないほうから糊付けされているほうへ縦にめくると糊付けされている部分が反り返ってしまいます。すると貼った時に接地部分が反ってしまい粘着力が弱まるのです。
めくる時に横にめくることで反ったとしても元に戻しやすく粘着力を維持できるのです。


課題の通知

参加するメンバーに事前に連絡がつくならばあらかじめ課題を通知しておいた方が良いのでしょうか?

「課題の理解ができればよい」

効率よくブレインストーミングをしたいのであれば、アイディアを事前に考えて来てもらった方がスタートダッシュにもなってよいような気がします。

しかし、現代人は結局インターネットで調べて他の人のアイディアを集めてきてしまいます。

便乗は歓迎されるのでいいんじゃないの?と思われるかもしれませんが、大体みなさん同じページを見てしまいます。すると、持ちよるアイディアも似たり寄ったりになってしまいます。

この時点で個人個人でネット上のアイディアを活用して自分のアイディアを考えてくるというのなら大いに価値があるでしょう。

しかし、そこまでできないならばかえって思考の範囲を狭めてしまうことになりかねません。

ということでメンバーをみて、そこまでできないようならば事前にアイディアをインターネットで探すのは控えさせたほうがよいでしょう。

では事前の課題の通知は不要かというとそうとは言い切れません。

課題事態を参加者が理解していないと深いアイディアは期待できないからです。

これは大問題です。理解できていないひとはおいてきぼりになってしまいます。

課題がどのような内容なのかは事前に通知しておくことで、よくわからないメンバーは事前に調べることができますし、問合せをすることもできます。

やはり可能であれば課題の通知は行っておきましょう。

「日常生活はアイディアの宝庫」

事前に課題の通知を行っておくことで課題意識をしっかり持てれば、日常生活の中の出来事や、テレビやラジオ、雑誌、新聞などに取り上げられたものとその課題を組み合わせてアイディアを作ることもできます。

これはとても有益です。

さすがに参加メンバーが全員同じような生活を送っているとは考えられませんし、メディアの数も増えたので同じものを見ているわけでもありません。数多くのアイディアのもとになるヒントがあるわけです。

課題の設定

課題の通知の話の後で課題の設定の仕方について書くのは順序が逆のような気がする方もいるかもしれませんが、ここで課題の設定について書きたいと思います。

「課題は設定するものじゃなく、そこにあるもの」

そもそもブレインストーミングのために課題があるのではなく、課題解決のためにブレインストーミングがあるのです。課題自体を考えるのはナンセンスです。

練習をするときにはテーマの設定に困ったりするものですがそこはみなさんで頭を悩ませてください。探せばいくらでも課題はあります。参加者から募集するのもいいでしょう。

※一応いくつかは第8章で紹介しています。


ここでは本番におけるテーマの設定について書きます。

ここが、とある洗剤メーカーの企画室だとしましょう。

普段自炊をしている方は手荒れに悩まされていませんか?そこで最初に持ち上がったテーマは「手荒れしない洗剤をつくる」というものです。

さて、このテーマはブレインストーミングの課題としてどう思いますか。

これはもう、「為せば為る」の世界です。あらゆる素材(原料)とその組み合わせをしらみつぶしに調べて効果があるものを探していくしかありません。2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智先生が微生物を探すためにあらゆる場所の土を採取して培養したのと同じです。ブレストの方向性としてはいままでに素材を探していない分野を見つける程度になってしまいます。それはそれでナシではないのですが、わざわざブレストする価値はないでしょう。

ではここで「手荒れせずに水仕事を達成する」というテーマにひろげてみるのはどうでしょうか。

洗剤メーカーなのに洗剤以外の方法を探すのは意味がないと思いますか?

単純に市場があればビジネスになります。

もし他の人がこの課題を解決する洗剤以外の方法を開発したとします。そうすれば洗剤メーカーの市場が奪われるだけです。

それなら現在顧客とのつながりがあるうちに新世代のビジネスを始めれば第一人者になれるわけですから、洗剤にこだわらずに新製品を開発したほうが賢明です。洗剤メーカーだから洗剤をつくらないといけないというのはナンセンスです。

解決の方向性を狭めてそのなかでブレストをするよりも、そもそもの問題をテーマにおいたほうが価値があるということです。

 第4章まとめ
  1. 練習は本番のように 本番は練習のように 場所にこだわらない
  2. 付箋は活用するべし
  3. 課題の理解のために課題は事前に告知する


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